自分道 Jibun-Dou

アフリカはセネガル。青年海外協力隊。

182 タリべ

セネガルで「タリべ」と呼ばれる少年たちがいます。

この少年たちは、朝、家から外へ出た時に必ず顔を合わせます。

 

この子たちは初対面の場合、

「お金が欲しい。」と言って近づいてきます。

 

タリべとは、

イスラム教の神聖な書物「コーラン」を学ぶ学校に通っている子供たちのことを言います。

マラブー」と呼ばれるイスラム教の指導者がいて、

「ダーラ」と呼ばれる学校でコーランを教えているらしいです。

 

このイスラム教の学校の実態は分からないのですが、虐待や物乞い(ものごい)の強要があるのでは?と様々な噂がされています。 

この学校は、一般的な小学校とは違い、コーランの暗唱のみ行われるそうです。

 

タリべと呼ばれる少年たちは見たらすぐに分かります。

なぜなら、ぼろぼろの服を着ているからです。

中にはサンダルすら履かず裸足の子もいます。

手には、元々は食べ物が入っていた小さいバケツ型の容器を持っています。

その容れ物の中に、人からもらった食べ物やお金を入れて歩き回るためです。

 

 

タリべは、親元を離れ、タリべ同士で集団で生活をしています。

お金を集めることは彼らの宗教の修行の一環と言われていますが、指導者が課したノルマがあるという噂もあります。

 

朝7時くらいに彼らを見かけ、露店のパン屋で、パンのかけらをもらって食べている光景を毎朝見ます。

砂糖を小分けに袋に入れて、タリべに配っている家庭も見ます。

昼は、一軒家や店を回って、各家のセネガル料理を、持っている容れ物によそってもらっているのを見ます。

夜、外で見かけることはありません。

 

彼らは、いつも集団で行動しています。

彼らは読み書きを習っていないので、文字は読めないのですが、セネガル母語であるウォロフ語を話します。

 

私と顔馴染みになっている子は、私の名前を呼んでくれます。

私もできるだけ彼らの名前を覚えようと名前を聞きます。

お金をねだられることは、来たばかりの時に特に多かったのですが、顔馴染みの子からはほとんど言われなくなりました。

 

お金をあげるとキリがないと思うので、私はお金はあげません。

代わりに、持っている食べ物や飲み物をあげることはあります。

炎天下で水すら飲めないところを見ると、あげずにはいられないのです。

肌寒いのに半袖しか着ていないときは、服もあげました。

 

私は、セネガルにおいて彼らが一番たくましい存在だと思っています。

まだ小学生低学年〜中学生くらいの少年たちが親と毎日顔を合わせることがない。

親から手放された子供たちだ、とも聞いたことがあります。

彼らは、生きるための食料を自力で集めています。

拾ったペットボトルのキャップでいつもサッカーをしています。

彼らは、お金の次にボールを欲しがるのです。

ケガをしていてもへっちゃらという感じで、明るく生きています。

 

今のままで良いとは思わないのですが、そのたくましさはすごい。

衛生面だけでも良くなったらと思います。

傷口から感染し、皮膚の病気になっている子が多い。

 

数えきれないほどの多くのタリべと呼ばれる子供たちが暮らしています。

大人は彼らをまとめて「タリべ」と呼ぶことが多く、個人のだれだれという捉え方をしていません。

家族と生活している人とタリべの生活には大きな壁があるように、私には見えます。

 

昔からあるセネガル全土に広がっている問題です。

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ヤギが自由に歩く。体の模様は無限にある。