たまに見かけるセネガル人の行動。
部屋のドアが開いている状態で、部屋の中に人がいるときに、
「コン、コン」
と口で言って、部屋の中へ入っていく人がいます。
コン、コンという音の表し方が日本と同じということが分かります。
うろ覚えですが、日本でもこういう風に使っている人がいたようないないような、、
最近、私の算数の活動で進めていることがあります。
それは「アバック」を広めることです。
アバックという言葉はフランス語で「そろばん・百玉計数器」などの意味があります。
セネガルでは、ずばりこれのことです。
算数の数の仕組みを覚えるために使う道具です。
下に書いたC・D・Uは、
Centaine(サンテンヌ)=100の位
Dizaine(ディゼンヌ) =10の位
Unité(ユニテ) =1の位
を表しています。
このアバックは、セネガルの先生の指導書(教え方が載っている本)にも書かれているセネガルの先生業界では有名な教材です。
これはセネガルの先生だけが知っていて、子供たちは見たことがありません。
それはどういうことか?
それは、教室でこれを使って教えている先生は、ほぼ0%という意味です。
私の住む地域では、このアバックを使って教えている先生を見たことがありません。
使われていない一番の理由は、
「用意するのが大変だから」です。
このアバックは学校に設置されていることはないです。
また、商品としてこのアバックが売られていることはありませんので、
先生が使うとしたら自分で作るしかないのです。
これには時間も手間も費用もかかります。
だから誰も用意しないのです。
セネガルでは、まだどこも教室がぼろぼろで、電気の1つもない教室があるような環境です。
先生たちは道具を準備せずに、大体は教具(教えるための道具)を使わず、
チョークで黒板に字を書くだけの授業をしています。
だから、アバックを私が作るので「道具を使って分かりやすい授業をしていきませんか?」という提案です。
というわけで、まず試作品を作りました。
私が見本を示して、子供たちにも同じものをそれぞれに作ってもらうという作戦です。
見た目はシンプルだけど、時間がかかりました。
協力してくれる先生にもやる気を出してもらうために、先生分も作りました。
工作はなかなか楽しいもんです。
まずは、長い木材をのこぎりで短く切ります。
そして、釘(くぎ)とハンマーで木材に穴を開けます。
そして、長い針金を、程よい長さに切ります。
切った針金の根っこにテープを巻き、穴にスキマがないよう入れて、ボンドで固めます。
くぎを、火でこれでもかと熱して、ペットボトルキャップを溶かして穴を開けます。
この作業をすると、溶けたプラスチックの煙が出て、それがなんとも言えない毒々しい臭いがします。
この穴開け作業をひたすらやります。
完成。
とにかくアナログに作るしかありません。
ボランティアである私は何よりも行動することが大事です。
どれくらい効果があるのかは、やってみないことには分からないのです。
私はこれまでの1年間の経験からこの道具をクラスで広めて、算数の授業をより分かりやすいものにしようとしています。
やってみなきゃ分からない。
そんな活動がずっと続きます。