自分道 Jibun-Dou

アフリカはセネガル。青年海外協力隊。

208 アバック

たまに見かけるセネガル人の行動。

 

部屋のドアが開いている状態で、部屋の中に人がいるときに、

「コン、コン」

と口で言って、部屋の中へ入っていく人がいます。

 

コン、コンという音の表し方が日本と同じということが分かります。

うろ覚えですが、日本でもこういう風に使っている人がいたようないないような、、

 

 

最近、私の算数の活動で進めていることがあります。

それは「アバック」を広めることです。

 

アバックという言葉はフランス語で「そろばん・百玉計数器」などの意味があります。

セネガルでは、ずばりこれのことです。

算数の数の仕組みを覚えるために使う道具です。

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下に書いたC・D・Uは、

Centaine(サンテンヌ)=100の位

Dizaine(ディゼンヌ) =10の位

Unité(ユニテ)    =1の位

を表しています。

 

このアバックは、セネガルの先生の指導書(教え方が載っている本)にも書かれているセネガルの先生業界では有名な教材です。

 

これはセネガルの先生だけが知っていて、子供たちは見たことがありません。

それはどういうことか?

それは、教室でこれを使って教えている先生は、ほぼ0%という意味です。

私の住む地域では、このアバックを使って教えている先生を見たことがありません。

 

使われていない一番の理由は、

「用意するのが大変だから」です。

 

このアバックは学校に設置されていることはないです。

また、商品としてこのアバックが売られていることはありませんので、

先生が使うとしたら自分で作るしかないのです。

これには時間も手間も費用もかかります。

だから誰も用意しないのです。

 

セネガルでは、まだどこも教室がぼろぼろで、電気の1つもない教室があるような環境です。

先生たちは道具を準備せずに、大体は教具(教えるための道具)を使わず、

チョークで黒板に字を書くだけの授業をしています。

 

だから、アバックを私が作るので「道具を使って分かりやすい授業をしていきませんか?」という提案です。

というわけで、まず試作品を作りました。

私が見本を示して、子供たちにも同じものをそれぞれに作ってもらうという作戦です。

 

見た目はシンプルだけど、時間がかかりました。

協力してくれる先生にもやる気を出してもらうために、先生分も作りました。

 

工作はなかなか楽しいもんです。

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まずは、長い木材をのこぎりで短く切ります。

そして、釘(くぎ)とハンマーで木材に穴を開けます。

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そして、長い針金を、程よい長さに切ります。

切った針金の根っこにテープを巻き、穴にスキマがないよう入れて、ボンドで固めます。

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くぎを、火でこれでもかと熱して、ペットボトルキャップを溶かして穴を開けます。

この作業をすると、溶けたプラスチックの煙が出て、それがなんとも言えない毒々しい臭いがします。

この穴開け作業をひたすらやります。

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完成。

 

とにかくアナログに作るしかありません。

 

ボランティアである私は何よりも行動することが大事です。

どれくらい効果があるのかは、やってみないことには分からないのです。

 

私はこれまでの1年間の経験からこの道具をクラスで広めて、算数の授業をより分かりやすいものにしようとしています。

 

やってみなきゃ分からない。

そんな活動がずっと続きます。